【初心者向け】リアルタイムPCR(qPCR)とは?違いと原理をやさしく解説!

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はじめに:qPCRとは何か?

qPCR(キューピーシーアール)とは、**リアルタイムPCR(Real-Time PCR)**のことです。
通常のPCRが「DNAを増やす」技術なのに対して、qPCRはDNAを増やしながらリアルタイムで“どれだけ増えたか”を測定できるのが特徴です。

感染症検査やがん遺伝子の検出、遺伝子発現解析など、医療や研究の現場で大活躍しています。


通常のPCRとqPCRの違いは?

項目通常のPCRqPCR(リアルタイムPCR)
目的DNAを増やすDNAの量を定量する(数える)
測定タイミング最後に見る途中でリアルタイムに見る
結果目で見て判断(ゲル)グラフや数値で表示
応用DNA検出感染症のウイルス量、遺伝子発現量の比較

qPCRの基本原理:蛍光でDNAの増加をモニター!

qPCRでは、DNAが増える過程で蛍光を使って増えた量をリアルタイムに記録します。

使われる蛍光法の例:

① SYBR Green法

  • 二本鎖DNAに結合して蛍光を発する色素を使用
  • シンプルで安価だが、非特異的な増幅も検出してしまう可能性あり

② TaqManプローブ法(ハイブリダイゼーションプローブ法)

  • 特定のDNA配列にだけ結合する蛍光プローブを使う
  • より特異性が高く、信頼性が高い

qPCRのステップ:PCR + 蛍光検出

基本のステップは通常のPCRと同じく、

  1. 変性(DNAの二本鎖を分ける)
  2. アニーリング(プライマーが結合)
  3. 伸長(DNAポリメラーゼが新しい鎖を合成)

ただし、伸長と同時に蛍光が発生し、それをリアルタイムで記録する点が違います。


Ct値(しーてぃーち)とは?

qPCRの結果で重要なのが「Ct値(Cycle threshold)」。これは、

「蛍光が一定レベルに達したサイクル数」

のことで、Ct値が小さいほど、元のDNAが多かったという意味になります。


qPCRの応用例

  • 新型コロナウイルスの検査(PCR検査)
     → ウイルスRNAをRT-qPCRで検出し、Ct値で感染の強さも推定
  • がん診断
     → 異常な遺伝子発現の量を定量
  • 遺伝子発現解析(mRNA量の測定)
     → 正常 vs 病変などでどの遺伝子が発現しているかを比較

まとめ:qPCRは「DNAの増える量」を測れるPCR!

🔹 qPCR(リアルタイムPCR)はDNAをリアルタイムで定量できるPCR
🔹 蛍光を使って増えたDNAの量をモニター
🔹 Ct値が小さいほどDNA量が多い
🔹 医療、感染症、がん研究などで不可欠な技術


よくある質問(FAQ)

Q. qPCRは定量できますか?
→ はい、蛍光シグナルにより、元のDNAの量を数値として評価できます。

Q. RNAもqPCRできますか?
→ 可能です。まず逆転写(RT)でcDNAにしてから、RT-qPCRで測定します。


次回は「RT-qPCRとは?RNAの定量をリアルタイムで行う方法」を解説予定です!

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