感覚器の発生:外胚葉から生まれる眼・耳・嗅覚

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外胚葉と感覚器

感覚器(視覚・聴覚・嗅覚)は、外胚葉から生まれる代表的な器官です。発生の初期には、神経外胚葉(神経管)と表層外胚葉が相互作用して、特殊な肥厚構造=「プラコード(placode)」を形成します。ここから眼・耳・嗅覚の原基が出現します。


眼の発生

  1. 視覚胞の出現(3週後半〜4週)
    前脳から外側に膨らむ「視覚胞」が形成されます。
  2. 眼杯の形成
    視覚胞の先端が陥入して「眼杯」になります。
    • 内層 → 網膜
    • 外層 → 網膜色素上皮
  3. 水晶体の発生
    眼杯に接する表層外胚葉が陥入し、「水晶体胞」を形成。これがのちに水晶体になります。
  4. 角膜とその他の構造
    角膜は表層外胚葉と神経堤細胞由来の要素から形成されます。

耳の発生

  1. 耳板の形成(4週ごろ)
    表層外胚葉の一部が肥厚して「耳板」になります。
  2. 耳胞の形成
    耳板が陥入して「耳胞」となり、のちの内耳の原基となります。
    • 耳胞 → 蝸牛(聴覚)、半規管・前庭(平衡感覚)
  3. 中耳・外耳
    中耳や外耳は中胚葉・第1鰓溝・鰓弓由来であり、外胚葉由来の耳胞と統合されて聴覚器が完成します。

嗅覚の発生

  1. 嗅板の出現(4〜5週)
    前脳の腹側に隣接する表層外胚葉が肥厚して「嗅板」を形成。
  2. 嗅窩の形成
    嗅板が陥入して「嗅窩」となり、嗅上皮へと分化します。
  3. 嗅神経とGnRHニューロン
    嗅上皮のニューロンは軸索を前脳に伸ばし、嗅球とシナプスを形成。
    さらに、この部位からGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)を分泌するニューロンが生じ、将来の生殖機能にも関与します。

臨床との関連

  • 眼の異常
    • 無虹彩症(PAX6遺伝子異常)
    • 小眼球症や無眼球症
  • 耳の異常
    • 内耳形成不全による先天性難聴
    • 外耳奇形(鰓弓の異常)
  • 嗅覚の異常
    • Kallmann症候群(GnRHニューロンの移動不全 → 性腺機能低下+嗅覚障害)

まとめ

  • 感覚器は外胚葉由来のプラコードから発生する。
  • 眼は視覚胞→眼杯→網膜・水晶体・角膜へと分化する。
  • 耳は耳板→耳胞→内耳(蝸牛・前庭)を形成する。
  • 嗅覚は嗅板→嗅窩→嗅上皮・嗅神経へと発生し、生殖系とも関連する。
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