筋骨格系の発生 ― 骨・筋肉・腱の形成と週齢の流れ

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筋骨格系の起源

筋肉・骨・腱を含む筋骨格系は、主に中胚葉由来です。中胚葉は脊索の両側で**体節(ソマイト)**を形成し、そこから骨格筋や脊椎、肋骨、腱が分化していきます。四肢の骨格は側板中胚葉から派生します。


骨格筋の発生

  • 第3週末〜第4週: 体節が形成され、筋節(myotome)が筋の前駆細胞を供給。
  • 第5〜7週: 筋芽細胞(myoblast)が融合し、多核の筋管(myotube)を形成。
  • 第8週以降: 筋管が筋線維として成熟、神経の支配を受けることで筋組織が機能的に整う。
  • 制御因子: MyoD, Myf5, Myogenin などが筋分化を誘導。

骨・軟骨の発生

  • 第4週: 硬節(sclerotome)が分化し、脊椎や肋骨の前駆細胞が出現。
  • 第5週: 四肢芽の中胚葉が軟骨性骨格を形成開始。
  • 第6〜7週: 軟骨モデルの形成(軟骨内骨化の準備)。
  • 第8週: 原始骨化中心が出現し、骨化開始。
  • 骨化様式:
    • 膜内骨化(頭蓋骨・鎖骨など) → 間葉から直接骨形成。
    • 軟骨内骨化(四肢骨・椎骨など) → 一旦軟骨モデルを経て骨に置換。

腱・靭帯の発生

  • 第5週ごろ: ソマイト筋節と硬節の境界から腱前駆細胞が誘導。
  • 第6〜7週: 筋と骨をつなぐ構造が形成され始める。
  • 制御因子: 転写因子 Scleraxis が腱分化を促進。

神経・血管との相互作用

  • 第6週以降: 運動神経が筋へ侵入し、活動パターンに影響を与える。
  • 骨形成では血管の侵入が骨芽細胞供給の起点となり、骨化の進行を制御する。

臨床的意義

  • 発生過程の異常により:
    • 先天性筋ジストロフィー(筋形成異常)
    • 骨形成不全症(軟骨内骨化の障害)
    • 四肢奇形(四肢芽の異常)
  • 再生医療研究:幹細胞を用いた筋再生や人工骨開発の基盤知識として活用。

まとめ

  • 筋骨格系は 第3週末〜第8週を中心に形態形成が進み、以降成長と成熟が続く。
  • 筋肉は体節の筋節由来、骨は硬節や側板中胚葉由来、腱はその境界から発生。
  • 発生のタイムラインを理解することで、先天異常の成因や再生医療の可能性を深く理解できる。
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