第5回:蛍光タンパク質の実験応用① ― 発現解析・局在解析の基本設計

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はじめに

第4回では、主要な蛍光タンパク質ファミリーとその実践的な使い分けを整理しました。第5回からは、蛍光タンパク質を実際の実験でどのように使うのかに焦点を当てます。

まず本稿では、最も基本となる発現解析タンパク質局在解析について、実験設計の考え方を体系的に解説します。


1. レポーター遺伝子としての蛍光タンパク質

蛍光タンパク質は、特定の遺伝子発現を可視化するレポーター遺伝子として広く用いられています。

代表的な設計は、

  • プロモーター下流にFP遺伝子を配置
  • 発現細胞を蛍光で同定

というものです。

この方法により、「どの細胞で」「いつ」遺伝子がオンになるかを直感的に把握できます。


2. 融合タンパク質による局在解析

蛍光タンパク質は、目的タンパク質と融合させることで細胞内局在解析に用いられます。

  • 核/細胞質
  • 細胞膜/オルガネラ
  • ダイナミクス変化

を生細胞で観察できる点が最大の利点です。


3. N末端かC末端か ― タグ位置の考え方

融合タグの位置は、タンパク質機能に大きな影響を与えることがあります。

一般に、

  • シグナルペプチド
  • 膜貫通領域
  • 触媒ドメイン

の有無を考慮して設計する必要があります。**「光るが機能しない」**という状況は、タグ位置不適合が原因であることが少なくありません。


4. 過剰発現系の利点と注意点

プラスミド導入による過剰発現は、

  • 実験が簡便
  • シグナルが強い

という利点があります。

一方で、

  • 非生理的局在
  • 凝集・毒性
  • 本来存在しない相互作用

を引き起こすリスクもあります。


5. ノックインによる内在性可視化

近年はCRISPR技術の普及により、内在性遺伝子へのFPノックインが一般的になってきました。

ノックインの利点は、

  • 発現量が生理的
  • 局在が自然

である点です。一方で、

  • シグナルが弱い
  • 作製コストが高い

という現実的制約も存在します。


6. 発現解析と局在解析を分けて考える

重要なのは、

  • 「発現を見る」のか
  • 「機能・局在を見る」のか

目的を明確に分けることです。

同じ蛍光タンパク質でも、設計思想が異なれば得られる情報の質は大きく変わります。


おわりに

第5回では、蛍光タンパク質を用いた発現解析・局在解析の基本設計を整理しました。次回は、FRAP・FRETなどを用いた動態・相互作用解析に進みます。

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