概要
トランスポゾン(transposon)は、ゲノム内を移動できるDNA配列です。
1940年代にバーバラ・マクリントックがトウモロコシで発見し、「遺伝子は固定されている」という当時の常識を覆しました。
ポイント解説
- トランスポゾン=ゲノム上を移動する遺伝要素
- 別名:可動遺伝因子(mobile genetic elements)
- ヒトゲノムの**約45%**がトランスポゾン由来
- 長らく「ジャンクDNA」と考えられていたが、現在は進化・制御・疾患との関与が明らかに
なぜ重要か
- ゲノム進化の原動力
- 遺伝子発現制御への関与
- がん・発生・老化との関連
もはや「例外」ではない
トランスポゾンは単なる「動く配列」ではなく、ゲノムの動態(genome dynamics)を規定する要素として再定義されている。
ヒトを含む真核生物では、遺伝子よりもトランスポゾンの方が量的に多いという事実が、その重要性を物語る。
分子レベルでの定義
トランスポゾンとは、
- 自己配列にコードされた酵素
- あるいは宿主因子を利用し
- ゲノム内で位置を変える能力を持つDNA配列群
である。
重要なのは
「移動できる」=「転写され、認識され、切断・挿入される」
という多段階分子イベントの総和である点。
マクリントックの発見の再評価
当初は表現型(斑入り)からの帰納だったが、現在の理解では:
- 遺伝子発現の確率論的制御
- 染色体構造変化
- エピジェネティック状態の揺らぎ
を同時に説明できる概念だった。
現代的意義
- ゲノムは「固定情報」ではなく編集され続ける場
- トランスポゾンはノイズ源であり、同時に進化素材