はじめに
「寝てないと風邪をひく」
「睡眠不足だと太りやすい」
これらは気分や生活習慣の問題ではなく、分子・細胞レベルで説明できる現象です。
第6回では、
✔ 睡眠と免疫の関係
✔ 睡眠と代謝・ホルモンの関係
✔ なぜ慢性的な寝不足が病気につながるのか
を、できるだけ整理して解説します。
睡眠は「回復」ではなく「調整」
まず重要な視点です。
👉 睡眠は、壊れた体を直す時間ではない
👉 体の状態を“最適化”する時間
免疫系や代謝系は、
- 常に動いている
- 常にバランス調整が必要
その調整の多くが、睡眠中に集中して行われます。
睡眠と免疫系の深い関係
免疫系は24時間働いていますが、
睡眠中に優先される免疫反応があります。
ノンレム睡眠中に起こること
- 炎症性サイトカイン(IL-1, TNF-α)の調整
- T細胞の活性化
- 免疫記憶の形成促進
👉 ワクチン接種後にしっかり眠ると、抗体価が上がる
というデータもあります。
寝不足で免疫はどうなるか
睡眠不足が続くと、
- ナチュラルキラー(NK)細胞活性の低下
- 感染防御力の低下
- 慢性炎症の亢進
ポイントは、
👉 免疫が弱るだけでなく、暴走もしやすくなる
これが、
- 感染症リスク増加
- 自己免疫・慢性炎症
につながります。
睡眠と代謝:ホルモンの話
睡眠は代謝ホルモンにも直結します。
食欲を調節するホルモン
- レプチン(満腹)
- グレリン(空腹)
睡眠不足では、
- レプチン ↓
- グレリン ↑
👉 食べていないのに空腹感が強くなる
インスリン感受性も下がる
短期間の睡眠不足でも、
- インスリン感受性が低下
- 血糖処理能力が落ちる
これは、
👉 2型糖尿病リスクの上昇
と直接つながります。
「睡眠不足=生活習慣病リスク」
はかなりストレートな関係です。
睡眠と脂肪・エネルギー代謝
寝不足の体では、
- 脂肪が燃えにくい
- 筋肉合成が落ちる
- コルチゾール(ストレスホルモン)上昇
つまり、
👉 同じ生活でも太りやすい体内環境
運動や食事以前の問題が、
すでに睡眠で決まっていることも多い。
慢性炎症という共通項
免疫と代謝をつなぐキーワードが、
慢性炎症
睡眠不足は、
- 低レベル炎症を持続させ
- 血管・脳・内臓に負荷をかける
結果として、
- 心血管疾患
- 糖尿病
- うつ・認知機能低下
といった「現代病」に波及します。
なぜ一晩の寝不足はまだ耐えられるのか
重要な点として、
- 単発の寝不足 → 回復可能
- 慢性的な寝不足 → 適応できない
体は一時的な不調には強いですが、
睡眠不足には慣れません。
👉 慣れた気がするだけで、機能は落ちている
まとめ
- 睡眠は免疫と代謝の調整時間
- 寝不足で感染防御が低下
- 食欲・血糖・脂肪代謝が乱れる
- 慢性炎症が全身に波及
- 睡眠不足は“全身疾患の土台”
次回は、
「夢は何のために見るのか?」
――夢と意識の科学に進みます。