はじめに
「赤ちゃんはよく寝る」
「年を取ると眠りが浅くなる」
これらは感覚的な話ではなく、脳と体の発達・老化に伴う必然的な変化です。
第9回では、
✔ 発達とともに睡眠がどう変わるのか
✔ なぜ高齢になると眠れなくなるのか
✔ それは“異常”なのか
を整理します。
睡眠は発達の一部
まず大前提として、
👉 睡眠は脳の発達そのものに組み込まれている
年齢による変化は、
「劣化」だけではありません。
新生児・乳児の睡眠
特徴
- 1日14〜17時間以上
- レム睡眠が非常に多い(約50%)
- 昼夜の区別がない
なぜレム睡眠が多いのか
- 脳回路が未成熟
- 外界刺激が少ない
- 内部活動で発達を促進
👉 眠りながら脳を作っている
幼児〜思春期の睡眠
子ども期
- 深いノンレム睡眠が豊富
- 成長ホルモン分泌が最大
👉 体も脳も“育つ睡眠”
思春期
- 体内時計が後ろにズレる
- 夜型化が生理的に起こる
重要なのは、
👉 怠けではない
学校時間とのズレが、
- 慢性睡眠不足
- 集中力低下
を招きます。
成人期の睡眠
安定期だが脆い
- 睡眠構造は完成
- 生活習慣の影響を強く受ける
- 仕事
- ストレス
- 夜間光
👉 社会要因が最大の敵
高齢者の睡眠
よくある変化
- 深い睡眠(N3)の減少
- 中途覚醒の増加
- 早朝覚醒
これは、
👉 老化による生理的変化
必ずしも病気ではありません。
なぜ高齢者は眠りが浅いのか
要因は複合的です。
- メラトニン分泌低下
- 体内時計の振幅低下
- 睡眠圧の蓄積低下
結果として、
👉 「まとまって眠れない」
昼寝は悪いのか?
高齢者では、
- 短時間の昼寝(20–30分)
- 午後早め
であれば、
👉 むしろ有益
ただし、
- 長時間
- 夕方以降
は夜の睡眠を削ります。
年齢変化と睡眠障害の違い
重要な線引きです。
- 生理的変化:受け入れる
- 病的変化:介入する
例:
- いびき+日中眠気 → OSA疑い
- 動作を伴う夢 → RBD疑い
「昔より眠れない」は正常?
答えは、
👉 部分的にはYES
ただし、
- 日中生活に支障
- 強い不安
- 著しい睡眠時間減少
があれば、
👉 評価が必要
まとめ
- 睡眠は年齢で変化する
- 乳児は脳発達のために眠る
- 思春期の夜型化は生理現象
- 高齢者の浅眠は自然な変化
- 病気との見極めが重要
次回はいよいよ最終回、
「科学的に良い睡眠とは何か?」
――実践と科学をつなぎます。