【大学院生向け】ウエスタンブロット徹底解説:原理から実験手順・トラブルシューティングまで

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ウエスタンブロットとは?

ウエスタンブロット(Western blot)は、特定のタンパク質の存在や発現量を検出するための分子生物学実験手法です。細胞や組織から抽出したタンパク質を電気泳動で分離し、抗体を用いて目的タンパク質を可視化する方法として、がん研究・免疫学・神経科学など幅広い分野で活用されています。


原理の流れ

  1. タンパク質抽出:細胞や組織から総タンパク質を回収します。
  2. SDS-PAGE:SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動で分子量に応じてタンパク質を分離。
  3. 転写(ブロッティング):ゲルから膜(PVDFまたはニトロセルロース)へタンパク質を転写。
  4. ブロッキング:膜上の非特異的結合部位を封鎖し、背景ノイズを低減。
  5. 一次抗体反応:目的タンパク質に特異的な一次抗体を結合。
  6. 二次抗体反応:一次抗体に結合する二次抗体(酵素標識あり)を使用。
  7. 検出:化学発光(ECL)や蛍光で目的タンパク質を視覚化。

実験のポイント

  • タンパク質定量:ロード量のばらつきを防ぐため、抽出後に定量(BCA法やBradford法)が必須。
  • ハウスキーピング遺伝子:β-ActinやGAPDHなどを内部コントロールとして利用し、比較を可能にする。
  • 抗体選択:抗体の特異性と希釈倍率は結果に直結。メーカーのデータシートを参考に最適化が必要。

トラブルシューティング

  • バンドが見えない:抗体の希釈倍率を見直す、抗体の品質を確認する。
  • バックグラウンドが強い:ブロッキング条件を最適化する、洗浄回数を増やす。
  • 複数の非特異的バンド:抗体の特異性が低い場合や、タンパク質分解の可能性。プロテアーゼ阻害剤の使用を検討。

応用例

  • シグナル伝達経路の解析:リン酸化抗体を用いたシグナル活性化の評価。
  • 遺伝子改変実験の確認:ノックダウンやノックアウトの効果をタンパク質レベルで検証。
  • 疾患研究:がんや神経疾患でのバイオマーカー探索に利用。

まとめ

ウエスタンブロットは「タンパク質を目で見る」ための強力な実験手法です。大学院生にとって必須の基礎技術でありながら、最適化や解釈には経験が求められます。実験を繰り返す中で、ノイズの原因や抗体の特性を理解することが、研究者としての成長につながります。


👉 この記事は教育・研究目的の解説であり、特定の試薬・企業に依存しない一般的な知識として記載しています。実際の研究においては、所属研究室のプロトコルや最新の文献を必ず参照してください。

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