【大学院生向け】CRISPR Screening入門:原理から実験手順・応用まで徹底解説

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CRISPR Screeningとは?

CRISPR screeningは、CRISPR-Cas9システムを利用して数千〜数万の遺伝子を同時に破壊または制御し、その影響を網羅的に評価する手法です。これにより「どの遺伝子が細胞の生存・増殖・薬剤感受性に関わっているのか」を一度に探索できます。
がん研究や免疫学、創薬研究など幅広い分野で活用され、遺伝子機能解析の中心的技術になっています。


原理の流れ

  1. gRNAライブラリ作製
    数千種類のガイドRNA(gRNA)を含むプールを設計。全ゲノム規模または特定の遺伝子群を対象にすることも可能です。
  2. 細胞への導入
    Cas9とgRNAライブラリをウイルスベクター(レンチウイルスなど)で細胞へ導入。1細胞に1種類のgRNAが入るように調整します。
  3. スクリーニング実験
    • 正の選択(Positive selection):薬剤処理やストレス下で「生き残った細胞」を解析。
    • 負の選択(Negative selection):時間経過で「失われた細胞」を解析。
  4. NGS解析
    実験前後でgRNAの頻度を次世代シーケンサーで解析し、どの遺伝子が細胞挙動に関与するか統計的に評価します。

実験のデザイン

  • ライブラリ選択:全ゲノム vs ターゲットパネル。研究の目的に応じて選択。
  • カバレッジ:細胞数を十分に確保し、各gRNAが統計的に評価可能なレベルを担保。
  • コントロールgRNA:ノックアウト効果の既知遺伝子や非標的gRNAを含めることで解析の信頼性を高める。

データ解析

  • リードカウントの正規化:シーケンス結果から各gRNAの出現頻度を正規化。
  • 統計解析ツール:MAGeCKやCRISPRessoなどの専用ソフトウェアを利用。
  • 遺伝子スコアリング:生存や薬剤耐性に有意に影響する遺伝子を同定。

応用例

  • がん研究:腫瘍の生存に必須な遺伝子や耐性遺伝子を特定。
  • 免疫学:T細胞やマクロファージの機能に関わる遺伝子探索。
  • 創薬研究:薬剤標的候補や副作用関連遺伝子の網羅的解析。
  • 基礎生物学:細胞周期やDNA修復などの基盤的経路を再評価。

トラブルシューティング

  • gRNA導入効率が低い → MOI(Multiplicity of Infection)の調整が必要。
  • 結果が再現しない → カバレッジ不足、細胞数不足の可能性。
  • 解析ノイズが多い → コントロールgRNAを増やす、バイオロジカルリプリケートを導入。

まとめ

CRISPR screeningは「ゲノム全体を相手にした仮説生成マシン」ともいえる強力な手法です。大学院生にとっては少しハードルが高い技術ですが、仕組みを理解しておくことで論文を読む際の視点が広がります。今後の研究キャリアでも必ず役立つ知識になるでしょう。


👉 本記事は教育目的の一般的解説です。実験を行う際は必ず所属研究室のプロトコルや最新の論文を参照してください。

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