内胚葉由来の器官の発生(2)消化器系の発生

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1. 消化器系の発生の起源

消化管は内胚葉由来で、胎児の体内に原始腸管(primitive gut tube)が形成されることから始まります。

  • 前腸(foregut):咽頭、食道、胃、十二指腸近位部、肝臓、胆嚢、膵臓
  • 中腸(midgut):十二指腸遠位部、小腸、大腸の近位2/3
  • 後腸(hindgut):大腸遠位1/3、直腸、肛門の一部、尿生殖洞の一部

2. 発生週数ごとの流れ

3〜4週:原始腸管の形成

  • 胚の折りたたみにより、卵黄嚢の一部が取り込まれ原始腸管が形成される。
  • 咽頭膜と肛門膜が前後端を閉鎖。

4〜5週:前腸の分化

  • 食道:気管と分離して伸長。
  • :前腸が膨らみ形成、90°回転して大弯・小弯ができる。
  • 肝芽:前腸腹側壁から突出し、肝臓原基となる。
  • 膵芽:背側・腹側に出現、のちに癒合して膵臓を形成。

5〜6週:中腸の伸長と回転開始

  • 中腸が急速に伸び、生理的臍帯ヘルニアとして一時的に腹腔外に突出。
  • 腸管ループが形成され、上腸間膜動脈を軸に反時計回り90°回転

6〜8週:後腸の形成

  • 後腸から直腸・肛門・膀胱の一部が発生。
  • 尿直腸中隔が下降し、尿生殖洞と直腸を分離。

8〜10週:中腸の還納

  • 腸管が再び腹腔内へ戻り、さらに反時計回り180°回転
  • 結果として、合計270°の回転を経て最終的な小腸・大腸の位置が決定。

10〜12週:組織分化

  • 胃粘膜に腺構造が出現。
  • 肝臓では造血が盛んになり、胆道系が形成される。
  • 膵臓ではランゲルハンス島が出現。

3. 臨床的意義

  • 臍帯ヘルニアの遺残:生理的ヘルニアからの還納が不十分だと臍帯ヘルニアや腹壁破裂に。
  • 腸回転異常:回転が不完全だと腸閉塞や捻転の原因に。
  • 食道閉鎖・気管食道瘻:前腸の分離異常。
  • 膵輪症:膵芽の回転異常により十二指腸が狭窄。

まとめ

  • 消化器系は前腸・中腸・後腸に分かれて発生する。
  • 3〜4週で原始腸管形成 → 5週で前腸分化 → 6〜10週で中腸の伸長と回転 → 10週以降で組織分化
  • 発生過程の異常は消化管奇形や位置異常を引き起こす。
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