内胚葉由来の器官の発生(3)肝臓・胆道・膵臓の発生

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

1. 発生の起源

  • 肝臓・胆道・膵臓はいずれも前腸内胚葉由来。
  • 周囲の臓側中胚葉が血管系・支持組織・一部の細胞分化に寄与します。

2. 発生週数ごとの流れ

肝臓の発生

  • 3週末〜4週:前腸腹側に**肝芽(hepatic diverticulum)**が出現。
  • 5週:肝芽は横中隔中胚葉に侵入し、**肝索(hepatic cords)**を形成。造血細胞も集まり、胎児肝は主要な造血の場となる。
  • 6〜10週:胆管構造が発達。
  • 10週以降:肝臓の胆汁産生開始(胎生期では羊水に排泄される)。

胆道系の発生

  • 4週:肝芽の一部が胆嚢・胆管原基に分化。
  • 5〜7週:肝外胆道が形成される。肝芽と十二指腸の交通が再開され、胆管が開通。
  • 12週以降:胆汁の流れが始まる。

膵臓の発生

  • 4週:前腸から背側膵芽腹側膵芽が出現。
  • 5〜6週:十二指腸の回転に伴い、腹側膵芽が背側膵芽の後方に移動・癒合。
  • 7週以降:膵管が形成され、主膵管(Wirsung管)・副膵管(Santorini管)が分かれる。
  • 8〜10週:膵島(ランゲルハンス島)が出現し、内分泌機能が始まる。

3. 臨床的意義

  • 胆道閉鎖症:胎生期の胆道形成不全により新生児期に胆汁排泄障害。
  • 膵輪症:腹側膵芽が異常に回転し、十二指腸を取り囲んで狭窄を起こす。
  • 膵胆管合流異常:膵管と胆管の合流が異常で、膵液と胆汁の逆流による胆道系疾患のリスク。
  • 胎児肝造血:出生前の造血障害や肝機能発達の評価に臨床的意義がある。

まとめ

  • 肝臓・胆道・膵臓はいずれも前腸由来
  • 肝臓は3〜4週に肝芽が形成され、5週以降に造血・胆汁産生が始まる。
  • 胆道系は肝芽の一部から分化し、12週以降胆汁の流れが確立。
  • 膵臓は背側・腹側膵芽から発生し、5〜6週に癒合、8週以降に内分泌機能が始まる。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*