胚葉からみる人体の発生まとめ:外胚葉・中胚葉・内胚葉の分化

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はじめに

人体は受精卵から始まり、発生の過程で 外胚葉・中胚葉・内胚葉 の三胚葉へと分化します。これらの胚葉はそれぞれ特定の臓器や組織を形成し、複雑な人体の構造が出来上がります。本記事では、これまで紹介してきた各胚葉の発生をまとめ、臓器形成を俯瞰的に整理します。


外胚葉由来の器官

外胚葉は主に「神経系・感覚器・皮膚表皮」を形成します。

  • 中枢神経系:神経管から脳・脊髄が発生。胎生3〜4週で神経管閉鎖が完了。
  • 末梢神経系:神経堤細胞から脳神経節・交感神経・副腎髄質などが形成。
  • 感覚器:眼(レンズ・網膜)、耳(内耳)、嗅覚器官などが外胚葉由来。
  • 表皮:皮膚の角化上皮、毛髪、爪、汗腺、乳腺などが発生。

中胚葉由来の器官

中胚葉は体の「支持構造・循環系・泌尿生殖系」を中心に分化します。

  • 筋骨格系:体節(ソミトメア)から骨格筋・椎骨・肋骨、側板中胚葉から四肢骨が形成(胎生4〜6週で主要構造が出現)。
  • 心血管系:原始心管が胎生3週で形成され、4週で拍動開始。動脈系・静脈系・リンパ系が分岐して全身循環が完成。
  • 泌尿生殖系:中間中胚葉から腎臓(前腎→中腎→後腎)、尿管、性腺が発生。性分化は胎生7週頃に始まる。

内胚葉由来の器官

内胚葉は「消化管・呼吸器・内分泌腺」の基盤をつくります。

  • 呼吸器系:前腸から気管・肺が発生。胎生4週で肺芽が出現し、24週頃までに肺胞の前駆構造が形成。
  • 消化器系:前腸(咽頭〜胃・肝胆膵)、中腸(小腸〜横行結腸)、後腸(下部消化管)が分化。肝臓・膵臓も内胚葉性。
  • 内分泌・その他:甲状腺、上皮小体、胸腺などの内分泌器官も内胚葉由来。

胚葉発生の全体像

  • 外胚葉:神経・感覚・皮膚
  • 中胚葉:運動・支持・循環・排泄・生殖
  • 内胚葉:消化・呼吸・内分泌

このように三胚葉はそれぞれ特定の機能系を担い、互いに補完しながら発生していきます。発生学を理解することは、先天異常や再生医療研究の基盤を学ぶ上でも重要です。


おわりに

今回の記事で三胚葉に基づく器官形成の総まとめを紹介しました。

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