急性高アンモニア血症の初期対応とその後の管理

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急性高アンモニア血症とは

急性高アンモニア血症は、血中アンモニア濃度が急激に上昇することで意識障害、けいれん、昏睡などを引き起こす緊急性の高い病態です。肝不全(急性・慢性増悪)、消化管出血、感染症、便秘、薬剤(バルプロ酸など)、尿素回路異常症などが原因となります。高齢者医療や救急・病棟・施設現場でも遭遇し得るため、初期対応の理解が重要です。


その場での対応(初期対応・緊急対応)

1. 生命維持を最優先

  • 意識レベル・呼吸・循環(ABC)の評価
  • 意識障害が強い場合は誤嚥予防、必要に応じて酸素投与
  • けいれんがあれば速やかに対応(一般的なけいれん対応に準ずる)

2. 高アンモニア血症を疑う状況

  • 肝疾患既往がある患者の急な意識障害
  • 明らかな脳卒中所見がない意識変容
  • 便秘、消化管出血、感染、脱水、過剰蛋白摂取の背景

※可能であれば速やかに血中アンモニア測定を行う

3. その場で開始される代表的対応

  • ラクツロース投与(経口または注腸):腸管内アンモニア産生・吸収を抑制
  • 便通確保(下剤・浣腸)
  • 蛋白摂取の一時的制限
  • 脱水補正(等張輸液を基本)

※重症例では速やかに高次医療機関へ連絡・搬送を検討


その後の対応(原因検索と再発予防)

1. 原因の同定

  • 肝不全・肝硬変の増悪
  • 消化管出血、感染症(肺炎・尿路感染など)
  • 便秘・脱水
  • 薬剤性(バルプロ酸、利尿薬の影響など)
  • 先天代謝異常(若年例・反復例では特に注意)

2. 薬物療法の継続・調整

  • ラクツロースの維持投与(下痢にならない範囲で便回数を調整)
  • リファキシミン(再発を繰り返す症例で検討)
  • 誘因薬剤の中止・調整

3. 栄養・生活指導

  • 過度な蛋白制限は避けつつ、適切な蛋白量管理
  • 便秘予防、水分摂取の指導
  • 感染予防、早期受診の啓発

4. 重症・難治例

  • 血液浄化療法(透析)が検討される場合あり
  • 専門医(消化器内科・肝臓内科・代謝専門医)との連携

高齢者施設・在宅医療での実践ポイント

  • いつもと違う」意識・言動変化を見逃さない
  • 便秘・脱水・感染の早期介入
  • 家族・介護スタッフと症状共有
  • 既往に肝疾患がある場合は再発リスクを前提とした対応計画を立てる

まとめ

  • 急性高アンモニア血症は時間との勝負
  • その場ではABC評価とアンモニア低下策を即開始
  • その後は原因検索と再発予防が重要
  • 法的・安全面を意識し、独断対応を避ける

法的配慮・免責事項(重要)

本記事は、急性高アンモニア血症に関する一般的な医学情報および臨床現場での考え方を整理したものであり、特定の患者に対する診断・治療を指示するものではありません。実際の診療・ケアにおいては、患者個々の状態、既往歴、施設の体制等を踏まえ、医師・専門医の判断および最新の診療ガイドラインに基づいて対応してください

また、本記事の内容を参考に行われた医療・介護行為の結果について、筆者および提供者は責任を負うものではありません。緊急性が疑われる場合や判断に迷う場合は、速やかに医療機関へ相談・紹介・救急要請を行うことを強く推奨します。

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