はじめに
「夜になると自然に眠くなる」
「時差ボケで体がついてこない」
これらはすべて、**体内時計(概日リズム)**の働きです。
第4回では、
✔ 体内時計はどこにあるのか
✔ どうやって24時間を刻んでいるのか
✔ なぜ夜に眠くなるのか
を、分子レベルも交えて解説します。
体内時計は本当に“時計”なのか
体内時計は比喩ではありません。
実際に、約24時間周期で動く生物学的システムです。
- ヒトだけでなく
- 植物、昆虫、細菌にまで存在
👉 概日リズム(Circadian rhythm)
(circa = 約、dies = 日)
中枢時計:視交叉上核(SCN)
ヒトの体内時計の司令塔は、
視床下部・視交叉上核(SCN)
ここは、
- 視神経のすぐ近く
- 光情報を直接受け取る
光が最重要の同調因子
- 朝の光 → 時計をリセット
- 夜の光 → 時計を遅らせる
👉 体内時計は光で毎日「校正」されている
末梢時計も存在する
重要なのは、
👉 時計は脳だけにあるわけではない
- 肝臓
- 筋肉
- 脂肪
- 免疫細胞
それぞれが独自の時計を持ちます。
SCNは
✔ 全体のテンポを決め
✔ 末梢時計を同期させる
「指揮者」のような存在です。
分子時計の仕組み(ざっくり)
体内時計は、遺伝子のフィードバック回路で動きます。
代表的な因子:
- CLOCK
- BMAL1
- PER
- CRY
流れ(簡略版)
- CLOCK/BMAL1がPER・CRYを作らせる
- PER・CRYが蓄積
- 自分自身の産生を抑制
- 分解されると再びスタート
このループが
👉 約24時間かかる
これが「時間」を生みます。
メラトニン:夜を知らせるホルモン
睡眠といえばメラトニン。
- 松果体から分泌
- 夜に増える
- 「眠りを誘う」というより
夜であることを脳に伝える
光との関係
- 明るい光 → 分泌抑制
- 暗闇 → 分泌増加
特に
📱 夜のブルーライト
はメラトニン抑制が強い。
なぜ夜更かしはつらいのか
体内時計は、
- 「起きていたい時間」
- 「眠るべき時間」
をあらかじめプログラムしています。
これに逆らうと、
- 眠れない
- 起きられない
- パフォーマンス低下
👉 気合では調整できない
クロノタイプという個人差
人には生まれつきの差があります。
- 朝型(lark)
- 夜型(owl)
これは
✔ 意志の問題ではなく
✔ 遺伝的要因が大きい
社会時刻とズレると、
👉 社会的時差ボケが起こります。
睡眠と体内時計は別物
重要なポイント:
- 睡眠圧:起きている長さ
- 体内時計:時間帯
この2つが揃って初めて、
👉 自然な眠気が生じます。
どちらか一方だけでは不十分。
まとめ
- 体内時計は実在する生物学的システム
- 中枢は視交叉上核(SCN)
- 光が最強の同調因子
- メラトニンは「夜の合図」
- 個人差(クロノタイプ)がある
次回は、
「なぜ寝ると覚えられるのか?」
――睡眠と記憶の科学に進みます。