はじめに
夢は不思議です。
- 現実と関係ない場面
- 突然の場面転換
- 強い感情だけが残ることもある
昔から、夢は
「無意味な現象」
「深層心理の表れ」
など様々に解釈されてきました。
第7回では、現代の脳科学が夢をどう理解しているのかを整理します。
夢はいつ見るのか
夢は主に、
👉 レム睡眠中
に見られます。
- 脳波:覚醒に近い
- 体:筋弛緩で動かない
- 脳内イメージ生成が活発
ただし、
- ノンレム睡眠でも簡単な夢様体験は起こる
- レム睡眠の夢の方が「物語性」が強い
夢を見るときの脳
夢を見ている間の脳活動には特徴があります。
活発な領域
- 視覚連合野
- 扁桃体(感情)
- 海馬(記憶)
静かな領域
- 前頭前野(論理・抑制)
👉 感情は強く、論理は弱い
これが夢の「リアルだけど変」な正体です。
夢は何のためにあるのか?
夢の役割については、いくつか有力な仮説があります。
① 記憶の再編成仮説
夢は、
- 過去の記憶断片
- 最近の経験
- 古い感情
がランダムに再結合したもの。
目的は、
👉 記憶ネットワークの再構築
重要な情報同士をつなぎ直すことで、
- 学習
- 創造性
- 一般化
が促進されます。
② 感情処理・ストレス軽減仮説
レム睡眠中は、
- ノルアドレナリンが低下
- 感情を「安全に」再体験できる
結果として、
- 記憶は残る
- 感情の強度は下がる
👉 つらい記憶を“無害化”するプロセス
③ シミュレーション仮説
夢は、
- 危険
- 対人関係
- 失敗
などを疑似体験する場。
進化的には、
👉 現実で失敗しないための予行演習
という解釈です。
夢は意味を持つのか?
重要なポイントです。
- 夢の内容そのものに「予言的意味」はない
- ただし、夢が生じるプロセスには意味がある
つまり、
👉 解釈より「機能」を見るべき
夢を覚えていないのはなぜか
夢を覚えていない理由はシンプルです。
- レム睡眠中は記憶固定が弱い
- 覚醒直後に干渉されやすい
夢を覚えている人は、
- 覚醒のタイミングが近い
- 中途覚醒が多い
という特徴があります。
悪夢は異常なのか
悪夢も、基本的には
👉 正常な夢の一部
ただし、
- 頻回
- 強い苦痛
- 日中機能に影響
がある場合は、
- PTSD
- 不安障害
- 睡眠障害
との関連が考えられます。
夢をコントロールできる?
「明晰夢」は、
- 自分が夢を見ていると自覚
- 前頭前野の部分的再活性化
によって起こります。
研究的には興味深いですが、
👉 一般的な睡眠の質向上とは別問題
まとめ
- 夢は主にレム睡眠中に起こる
- 感情と記憶の再編成が中心的役割
- 内容よりも「機能」が重要
- 悪夢も基本的には正常現象
- 夢は脳の調整プロセスの一部
次回は、
「眠れないのはなぜか?」
――睡眠障害の科学に進みます。