はじめに
「眠れない」は、とてもありふれた訴えです。
- 布団に入っても眠れない
- 途中で何度も目が覚める
- 寝たはずなのに疲れが取れない
重要なのは、
👉 睡眠障害は“意志の弱さ”ではない
という点です。
第8回では、代表的な睡眠障害を“仕組み”から理解することを目標にします。
睡眠障害とは何か
睡眠障害とは、
- 睡眠の量
- 睡眠の質
- 睡眠のタイミング
のいずれかが障害され、
日中の生活に支障が出る状態を指します。
単なる寝不足とは区別されます。
不眠症:眠れない脳
不眠症の本質は、
👉 脳が「覚醒しすぎている」状態
何が起きているか
- 交感神経優位
- コルチゾール高値
- 前頭前野の過活動
つまり、
体は疲れているのに、脳が休めない
不眠を維持する悪循環
- 眠れない経験
- 「また眠れないかも」という不安
- 覚醒度上昇
- さらに眠れない
👉 学習された覚醒状態
睡眠時無呼吸症候群(OSA)
OSAは、構造的な問題が中心です。
- 上気道の閉塞
- 呼吸停止
- 酸素低下
- 覚醒反射
本人は寝ているつもりでも、
👉 実際には分断された睡眠
なぜ危険なのか
- 交感神経の慢性亢進
- 高血圧・心疾患
- 脳血管障害リスク
睡眠の問題が、
循環器疾患に直結します。
レム睡眠行動障害
本来、レム睡眠では体が動きません。
この抑制が壊れると、
- 寝言
- 手足の動き
- 夢の再現行動
が起こります。
重要なのは、
👉 神経変性疾患の前駆症状
(パーキンソン病など)
概日リズム睡眠障害
「眠れない」のではなく、
👉 眠る時間がズレている
タイプです。
- 睡眠相後退症候群(夜型)
- シフトワーク障害
- 時差症候群
治療は、
- 睡眠薬ではなく
- 光・時間の調整
むずむず脚症候群(RLS)
- 夕方〜夜に不快感
- 動かすと楽になる
- 入眠困難の原因に
ドーパミン系・鉄代謝が関与します。
なぜ「眠れない」は一様でないのか
睡眠は、
- 脳
- 呼吸
- ホルモン
- 自律神経
- 行動習慣
の統合現象。
👉 壊れ方も多様
「眠れない」=同じ病態
ではありません。
治療の基本的考え方
重要な原則は、
- 原因を見極める
- 病態に合わせる
- 対症療法だけにしない
特に不眠症では、
👉 認知行動療法(CBT-I)
が第一選択とされています。
まとめ
- 睡眠障害は脳・体の機能障害
- 不眠症は覚醒過剰状態
- OSAは構造的問題
- 概日リズム障害は時間のズレ
- 病態ごとにアプローチが違う
次回は、
「年齢で睡眠はどう変わるのか?」
――発達と老化の視点に進みます。