ノーベル生理学・医学賞の始まり
ノーベル生理学・医学賞は1901年に始まりました。
この賞は
ダイナマイトの発明者である
Alfred Nobel
の遺言により創設されたものです。
ノーベルは遺言の中で
人類に最大の利益をもたらした発見をした者に授与する
と記しました。
医学賞はその中でも
生命科学・医学のブレイクスルーを対象とした賞です。
現在までに100年以上続くこの賞は、
医学の進歩そのものの歴史といってもよいでしょう。
このシリーズでは
第1回受賞から順番に医学研究の進歩を追っていきます。
1901年
血清療法の発見
最初のノーベル生理学・医学賞は
Emil von Behring
に授与されました。
彼の研究は
ジフテリア血清療法
です。
当時のジフテリア
19世紀後半、ジフテリアは
- 子供の死亡原因の主要疾患
- 致死率は50%近い
恐ろしい感染症でした。
原因菌は
Corynebacterium diphtheriae
です。
この菌は
毒素(diphtheria toxin)
を分泌し、
喉の偽膜形成や心筋障害を引き起こします。
血清療法とは何か
Behringは次の発見をしました。
動物に毒素を少量投与すると
血液中に毒素を中和する物質
が生まれる。
この血液成分を別の動物に投与すると
感染を防げる
ことがわかったのです。
これが
抗体の概念の原型
でした。
免疫学の始まり
血清療法は
- 免疫学
- ワクチン
- 抗体医薬
すべての基礎となりました。
現在の
- モノクローナル抗体
- 免疫療法
- CAR-T
などの治療も
この研究から始まっています。
1902年
マラリアの感染経路の発見
1902年の受賞者は
Ronald Ross
です。
彼は
マラリアが蚊によって伝播する
ことを証明しました。
マラリア研究の状況
当時マラリアは
世界で最も多くの人を殺す感染症でした。
しかし
- 原因
- 感染経路
がほとんどわかっていませんでした。
Rossの発見
Rossは
Anopheles mosquito
を研究し、
蚊の体内に
Plasmodium
が存在することを発見しました。
つまり
マラリアは蚊によって媒介される感染症
であることが証明されたのです。
公衆衛生への影響
この発見により
マラリア対策は
治療だけでなく
- 蚊の駆除
- 水たまりの除去
- 蚊帳
といった
公衆衛生対策
へと変化しました。
これは
感染症疫学の始まり
とも言われています。
1903年
光線療法の開発
1903年の受賞者は
Niels Ryberg Finsen
です。
彼は
光線療法
を開発しました。
ループス・バルガリス
Finsenが治療した病気は
皮膚結核
です。
当時は
- 顔の皮膚が破壊される
- 治療法がほとんどない
非常に重い病気でした。
紫外線の効果
Finsenは
光の中でも
紫外線
が細菌に対して殺菌効果を持つことを発見しました。
これを利用して
人工光源で
皮膚結核を治療する方法を開発したのです。
現代医療への影響
光線療法は現在も
- 乾癬
- アトピー
- 新生児黄疸
などの治療に使われています。
初期ノーベル医学賞の特徴
1901〜1903年の研究には共通点があります。
それは
感染症との戦い
です。
当時の医学の最大の敵は
- 結核
- ジフテリア
- マラリア
などの感染症でした。
この時代の研究は
現代医学の基礎
を作りました。
まとめ
ノーベル生理学・医学賞の最初の3年間は
医学の歴史を変える発見ばかりでした。
1901
血清療法(免疫学の始まり)
1902
マラリア伝播(感染症疫学)
1903
光線療法(医療技術)
これらの研究は
現在の
- ワクチン
- 感染症対策
- 免疫治療
の基礎となっています。